県北エリア
雑穀、そば、小麦を使った食文化や「南部もぐり」「北限の海女」などの伝統漁法、自然素材を使った手仕事。県北エリアは先人の知恵が受け継がれている「土地の自然に根ざした独特の文化」が魅力です。
DATA
気 候
山間部は昼と夜、冬と夏の寒暖差が大きく、積雪も多い盆地・高原型の内陸性気候。海側は夏はやませにより冷涼、冬は比較的温暖で雪も少ない海洋性気候。山と海とでは気候が異なり、暮らしのスタイルも大きく違う。
暮らし環境
交 通
山間部は、高速道路や新幹線、鉄道が縦断する一戸町、二戸市は比較的交通の便がいいが、他の地域は車かバスが重要な交通手段。海側もJR 線、三陸鉄道が通る海岸沿い以外は車かバスが移動手段。市町村で「コミュニティバス」を運行しているところもある。
医 療
久慈市、二戸市、一戸町、軽米町に県立病院があり、連携しながら地域の医療を担っている。
買い物
車があれば不便はない。地元にない物を買うときは県境を越え青森県八戸(はちのへ)市に行く人も。
学 び
県北沿岸部の高校は、久慈市・野田村・洋野町にあり地域密着型の教育。二戸には高等看護学校、高等技術専門校がある。盛岡市、八戸市へ電車通学する学生も多い。
自 然
二戸市、軽米町、九戸村にまたがる折爪岳(おりつめだけ)は、
東北有数のヒメボタル生息地。海沿いは断崖と奇岩が連なる「小袖(こ
そで)海岸」、弓なりで穏やかな海岸「十府ヶ浦(とふがうら)」な
ど表情豊かな海岸美を楽しめる。世界遺産登録を目指す御所野遺跡。
伝統芸能・行事
岩手県北部から青森県南部に伝わる「ナニャドヤラ」。日本最古の盆踊りと言われるが起源や由来は不明。毎年8月には洋野町で「北奥羽(きたおうう)ナニャドヤラ大会」が開催される。ほかにも三陸沿岸を2ヶ月かけ巡業する普代村「鵜鳥神楽(うのとりかぐら)」、二戸市「福田人形まつり」「サイトギ」、久慈市山形の「闘牛大会」など地域独自の芸能や行事が多い。
工芸・手仕事
一戸町の「竹細工」「箕(み)」、二戸市「浄法寺塗(じょうぼうじぬり)」、九戸村「ほうき」、洋野町「大野木工」、久慈市「小久慈焼(こくじやき)」など、自然の恵みをいかした手仕事が伝わる。また、久慈市は日本では稀少な琥珀の産出地。「琥珀博物館」では採掘やアクセサリーづくりを体験できる。
食文化
平地が少なく冷涼な山間部は古くから小麦やそば、雑穀の栽培が盛んで、「へっちょこだんご」「串もち」「そばかっけ」といった独自の粉もんメニューが豊富。一方海側はウニやホヤなど魚介の宝庫。伝統漁法「北限の海女」「南部潜り」が受け継がれている。昔ながらの製法で作る「のだ塩」も有名。
産 業
農業、畜産業、林業、漁業など、自然を相手にする産業が多い。日本一の木炭生産地でもある。また縫製工場も多く、その高い技術を見込まれ世界的なブランドの縫製も手がけている。
TOPICS
「くるみ味ぁする」は、
「おいしい」の最上級。
県北エリアと沿岸エリアの一部では「おいしい!」を「くるみ味ぁする(くるみの味がする)」と表現する。山間部に暮らす人々にとって、古くからこの地に自生するくるみは、食料であり貴重な栄養源。今もごはんやおかず、汁物、おやつにと、さまざまな郷土料理に使われている。その滋味とコクのある味わいは、まさに「おいしいもの」の代名詞。「くるみ味ぁする」は、山の恵みへの感謝も込められた、素朴な暖かみが感じられる言葉だ。