岩手・タイマグラからの便り
第5回
冬に咲かせよう!「ワクワクの種」
2025.01.06
今年も、3人と6匹。家族揃って健やかに、新しい年を迎えることが出来ました。そのことに感謝しつつ、お正月恒例のアレコレを楽しみながら、のんびりと過ごしました。
岩手・タイマグラからの便り
この世界のどこか、遠くに暮らすあなたへ。「岩手・タイマグラからの便り」は、いわて暮らしの魅力を紹介するWEBマガジンです。たとえ不便でも、手間がかかっても、自分たちの理想の生き方を実現するために岩手を選んだ安部智穂さん。その日々の様子を、隔月の連載でお届けします。
豪勢に薪ストーブを燃やし、ポッカポカな炉縁でお節料理をつまみます。朝からほろ酔い気分で、たわいもない話にも大笑い。猫たちもなんだか嬉しそうに、丸くなってゴロゴロとノドをならしています。トランプをしたり、手作りパズルに興じたり、おもしろおかしく書き初めの真似事をしてみたり。どれもこれもお正月限定の遊びで、お正月だからこそこんなに楽しいんだろうなぁー。
でも、そんなお屠蘇気分も、5日を過ぎる頃にはボチボチ醒めてきます。「さて、いつもの暮らしに戻ろうか」ってね。夫も私も、自宅でマイペースに仕事をしています。でもだからこそ切り替えが大切。ちょっとした工夫で気持ちスイッチを切り替えています。
冷蔵庫にはまだお節料理が残っています。食べ納めに今年もちらし寿司を作りました。紅白なますに酢蓮、伊達巻き等々。甘めの具材が多いので、酢飯はさっぱりスダチ果汁で。コレを食べると、気持ちスイッチがカチッと切り替わります。
やおら大掃除を始めるのも毎年のこと。お正月中は、簡単な掃き掃除しかしないので、松の内が明けたら丁寧に掃除をし、酷寒にも関わらず家中の窓を開け放って空気もいれかえます。「あぁ、さっぱりした」。コレまたカチッと気持ちスイッチが切り替わります。
「ハレ」の日は楽しいけれど、あんまり続くと疲れちゃう。「ケ」(普段)の暮らしに戻るとなんだかホッとして、日常って尊いなぁと思います。「ハレ」と「ケ」そのどちらも等しく愛しいということに、あらためて気付かされる一月です。
冬は時間がたっぷりとあるので、手仕事に勤しみます。編み物や縫い物、そしてカゴ編み、などなど。冬は外仕事はほとんど出来ないし、来客もうんと減るので、じっくりと手仕事をするのにうってつけなのです。
母屋と向かい合って建つ小屋に、コツコツと集めた手仕事の材料を保管しています。天井にズラズラと吊るしているのはカゴの材料。胡桃の樹皮やアケビヅルやマダの繊維など。壁にかけた袋には夏に収穫したトウモロコシの皮がぎっしり。草履を編むのに使います。友人が栽培したライ麦の麦藁は、ヒンメリやストロースター作りに。秋に収穫した箒モロコシはその名の通り箒の材料になります。「さて、何作ろうか?」 春から秋にかけてせっせと集めた材料を眺めながら思案するのは、ワクワクと心躍る時間です。
冬支度というと、薪割りや畑仕舞い、除雪機のメンテナンス、などが真っ先に思い浮かびます。もちろんそれらも欠かせない冬支度です。でも同じぐらい重要なのは、ワクワクの種をたくさん蓄えておくことではないかしら? ワクワクがなけれは、長く厳しい冬を健やかに過ごすことは難しいですものね。
梅雨時にせっせと樹皮を採取したり、背高のっぽに育つ箒モロコシをしっかり支柱にくくったり。そんなこんなも、大切な冬支度でもあるのです。 あの春、あの夏、あの秋のおかげで、今年もワクワクと冬を過ごせています。巡る季節に感謝すると共に、春夏秋を一生懸命暮らした自分自身に、そして家族に、こう声をかけたいと思います。「Good job!」ってね。
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2024.11.05
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