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移住コーディネーター

デザイナーと画家夫婦の遠野移住
二人が描く新しい「遠野物語」

遠野市へ
Iターン

グラフィックデザイナー、画家

阿部拓也・菅野麻衣子夫妻

(拓也さん 秋田県出身 / 2021年に移住)
(麻衣子さん 宮城県出身 / 2021年に移住)

拓也さん/秋田県湯沢市出身。日本デザイナー芸術学院仙台校卒業後、宮城県仙台市の印刷会社でアートディレクターを経験したのち2018年独立。仙台での活動を経て、2021年遠野市に拠点を移し、グラフィックデザイナーとして活動中。
麻衣子さん/宮城県富谷市出身。宮城県宮城野高校美術科、東北生活文化大学卒業。仙台を拠点に画家として創作活動を行い、国内外で個展を開催。2018年「遠野物語」をテーマとした作品で佐々木喜善賞(遠野文化奨励賞)受賞。2021年遠野市に拠点を移す。
(2022年度取材)

移住という名の冒険
「面白い方を選びたい」

「遠野物語」の伝承の一つで、訪れた者に富をもたらすとされる山中の幻の家“マヨイガ”。素朴な理想郷を想起させる人気の民話です。
そんなマヨイガのように、「遠野という地から、想像以上のものをもたらしてもらった」とお話しするのは、2021年4月に移住した阿部拓也さん麻衣子さんご夫妻。
「遠野に来てから興味のあることはなんでもやってみたいという気持ちになって、農作業、山歩きなどいろいろ挑戦し、そのすべてが楽しいです。こんなに充実した1年は今までの人生で無かったかもしれない。そのくらい、この土地はおもしろいです。」

秋田県出身の拓也さんと、宮城県出身の麻衣子さん。ともに幼少期から絵を描くことが好きで、それがアイデンティティにもなっていたというお二人。特に拓也さんは、警察官だった父親の転勤による転校が多く、オリジナルの漫画を描くことが新しい友達を作るコミュニケーション方法にもなっていたそうです。

それぞれ宮城県仙台市内の美術の高等教育機関を卒業し、拓也さんは印刷会社に就職、麻衣子さんは画家として創作の道へ。2014年の結婚当時は、拓也さんはアートディレクターとして多忙の日々を過ごしていました。
「なんとか休暇が取れて東京へ新婚旅行に行った時も、テーマパーク内で仕事の電話をずっと取っていました。睡眠時間すらまともに確保できない日々は、そばで見ていて心配でしたね。」と麻衣子さん。
働き方を見直し、拓也さんは2018年に独立。生活が落ち着いた2020年3月、制作活動の題材探しに麻衣子さんの憧れの国であるチェコ・ドイツ旅行を計画しますが、新型コロナウイルスの影響で直前のキャンセル。そのままコロナ禍の自粛生活を余儀なくされます。
「当時は仙台市内で新居の購入を検討していました。でもローンを組むことは、その先20年以上の生活が縛られること。それがなんだかつまらなく感じて、自然と、過去に何度も訪問していた遠野市への移住を考えるようになりました。移住先で何かしたいという明確な目的があったわけではありません。ただ今より面白い方に進みたいという冒険にも似た気持ちでした。」
安定した未来より、未知の楽しさへの期待が上回ったというお二人。麻衣子さんのお姉さんの嫁ぎ先であり、麻衣子さん自身も創作のテーマに「遠野物語」を選んでいたという縁で、遠野市への移住を決めます。

(左)カッパ淵でカッパ釣り
(右)附馬牛でノ馬(TONOMADEの馬っこ)作り体験

 

遠野で感じた自然の奥深さと複雑さ

「遠野は移住者も多いし、移住者を歓迎してくれる方も多い。そのネットワークができていて、自然と知り合いが増えていきます。移住当初に借りた空き家も、知り合いの方に紹介してもらいました。」
遠野に来てから、市の広報誌や地元ケーブルテレビを見るのが楽しみになったというお二人。
「街がコンパクトな分、街で起きていることがより自分事として感じられます。小さくですが、自分たちも広報誌の表紙に観衆の一部として偶然写り込んだこともありました。」

2021年4月に移住後、お互いに仕事を続けながら、拓也さんは遠野でさまざまなことに触れる機会が増えたそうです。
「雄大な自然に囲まれているせいか、自分が開放的になっているのを感じます。山歩きツアーの機会があれば参加してみたり、ホップ農家のお手伝いがあれば行ってみたり、隣の大槌町の狩猟ツアーにも行ってみました。」
狩猟との出会いのきっかけは、実に意外なことだったそう。
「遠野の道の駅で串カツのキッチンカーを見つけて買ってみたのですが、それが大槌ジビエソーシャルプロジェクトで作られている大槌鹿の串カツでした。プロジェクトメンバーであるキッチンカーの店員さんと話している内に狩猟ツアーへの興味がわき、参加してみました。今は狩猟免許の取得も考えています。遠野でも鹿の農業被害やハンターの高齢化は深刻な問題です。街の問題解決と自分のアクションがリンクするなんて、都会にいたころでは考えられなかったですね。」

美術を生業にするお二人は、遠野の厳しい自然から創作のアイデアを受けることも。
「晴れた日に雪原の新雪がキラキラと風に舞う様子が美しくて、この自然美を見るためだと思えば冬の寒さも乗り越えられました。毎日の山肌の緑の変化、雨が降った日の山霞など、山のそばで暮らしていると本当に一日として同じ景色がないようです。夜の闇の深さや身近に感じる生き物の生態系など、都会にいるころはもっとシンプルだと思っていた生活や自然は、ずっと複雑で奥行きのあるものだと感じるようになりました。その感覚は、お互いの創作に影響を与えていると思います。」

移住から一年が経ったこの春、お二人はともにデザイン専門学校で教員をしていた経験を生かして「遠野美術クラブ」をスタートさせました。
「遠野は郷土芸能など文化レベルが高いですが、美術に気軽に触れられる機会は少ない印象を受けました。画材の正しい使い方を知るだけでも表現の幅はぐっと広がります。たくさんの人に絵を描く楽しさを伝えて、それが街の活性化に繋がったら嬉しいですね。」
拓也さんが子どものころ引っ越し先々で描いたように、遠野移住後に描き続けてきたエッセイ漫画「僕の遠野日記」は、Twitterで公開後に製本化され、遠野移住を検討する方だけではなく、地元遠野の方々にも読まれています。
「デザインやアートで遠野を盛り上げたい。」二人の思いが広がります。

(左)親戚の畑でトウモロコシの収穫
(右)遠野美術クラブでデッサンの指導

(左)拓也さんの移住漫画「僕の遠野日記」
(右)拓也さんが制作した遠野の文化を紹介するイラストマップ

遠野の民話、自然や民俗学等に着想を得て麻衣子さんが制作した作品たち
(左)「暮らしの尊厳」
(右)「山の子ゆらゆら」

Q&A

移住を検討している人にメッセージを

私たち自身がそうなのですが、しっかりした計画や明確な目標が特になくても、とりあえず行ってみるという気持ちの移住でも良いと思います。住めば、きっと何かが見つかるはずです。その土地で何ができるかは、それが見つかった時に考えても遅くないと思います。

遠野市の移住相談窓口「で・くらす遠野」とは?

遠野市役所観光交流課内にあるワンストップ相談窓口です。移住相談や空き家バンクの物件紹介をしてもらえます。私たちの場合は、適合する支援制度や条件にあう空き家がなかったのですが、それでも移住まで親身に寄り添っていただきました。移住後の今でも、仕事につながるようなお話を連絡していただくこともあります。まだ移住は考えてないけど、遠野と繋がりたいという人には「で・くらす遠野市民制度」というのもありますよ。

遠野で美味しかった食べ物は?

特産品としては「パドロン(ピーマンのような野菜)」です。遠野はホップの一大産地である“ビールの里”で、ビールに合うおつまみとして、遠野で生産量が増えています。あとは街の飲食店での食事やスーパーで買うお惣菜が、家庭的な味でおいしいですね。特に観光施設「遠野伝承園」のクッキーは、一つ一つ型抜きで抜いた手作りの素朴さが感じられて大好きです。

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