コミュニティ
認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク
ありのままの遠野を体験し、新たな繋がりを育む
「永遠の日本のふるさと」遠野市。古き良き日本の原風景が今も残り、河童や座敷童といった不思議な存在が身近に息づく場所として、多くの旅人を惹きつけています。
「遠野山・里・暮らしネットワーク」は、都市と農村を結び、地域の未来を育むことを目的に、20年以上前からグリーン・ツーリズム(農泊)を実践しています。農家宿泊に滞在し、昼間は畑仕事で汗を流し、夜は郷土料理を味わいながら、温かい方言の話に耳を傾ける。そんな、ありのままの遠野の暮らしを体感してもらうことを、マネージャーの田村隆雅さんは最も大切にしているとお話しします。
「旅人の視点から地域の魅力を再発見することで、地元の人々も遠野への愛着を深めていくーー。こうした交流から、新たな移住者や定住者が生まれることもあります。遠野に住むことを選び、それを誇りに思ってもらえるようにすることが、私たちの活動の目標です。」
遠野山里ネットでは、移住者の定着を促進するため、令和6年度に移住者交流会を実施しました。多くの移住者が暮らす遠野で、よりたくさんの人に参加してもらえるよう、秋季だけで4回も開催。開催地区を毎回変え、稲刈り体験や郷土料理作りなど、様々なアクティビティを用意しました。交流会は約半日とじっくり時間をかけて行われ、単に顔を合わせるだけでなく、参加者同士が深い繋がりを築けるような工夫が凝らされています。
さらに、長期的に地域と関われるコミュニティとして「宮守棚田funファンクラブ」が立ち上げられました。田植えから稲刈りまで、宮守地区の棚田で行われる農作業を通じて、棚田に興味を持つ人々が定期的に集います。市外からの参加も可能ですが、最近では移住者の参加も増えているとのこと。地域資源を生かした活動が、移住者と地元住民との橋渡し役を担っています。
地域の魅力を知り尽くした遠野山里ネットが企画する「花巻・遠野おためし移住モニターツアー」は、募集開始からわずか数日で満員になるほどの人気。しかしツアーでなくても、遠野山里ネットでは個人向けの民泊や、里山ホップサイクリングといった体験など、遠野を楽しむさまざまな体験プログラムを用意しています。移住を検討している方はもちろん、移住後に地域とのつながりを深めたい方にもおすすめしたいと、田村さんはお話しします。
「私自身が東京からの移住者で、グリーン・ツーリズムのコーディネートがしたくて新卒で遠野市に移住してきました。若さゆえの行動力だったので、何度も帰りたいと思ったのですが、その倍も、やはり遠野に住みたいと思い直せたのは、遠野の人たちとのつながりがあったからだと思います。これから移住を検討される方たちにとって、“この人とつながっていれば大丈夫”と思ってもらえるような存在になれたら嬉しいですね。」
遠野市の移住コーディネーターも兼任している田村さん。中央通りに位置する町家と蔵を基調とした木造の事務所(遠野旅の産地直売所)には、移住者が相談に訪ねて来ることも多いそう。
「移住した後も、仕事のこと、子どものこと、医療のことなど、相談したいことは年が経つにつれて変わっていきます。 移住された方に寄り添う“おせっかい”の気持ちを忘れずに、関わっていきたいです。」
(2025年度取材)

スタッフのみなさん。後列左から2人目がお話を伺った マネージャー田村隆雅さん。

移住者交流会の様子。

移住者交流会の様子。

ホップ畑の近くを巡るサイクリングツアー「里山ホップサイクリング」。
[お問い合わせ先] 認定NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク
【ホームページ】遠野旅の産地直売所/遠野山・里・暮らしネットワーク
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