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第15回 我がお山(2023年3月)/柏葉幸子

ニューヨークタイムズの2023年に行くべき都市52か所のうち2番目に紹介されたのが、我が町盛岡市だった。盛岡の魅力は何か?というアンケートに「岩手山」と答える人がいた。盛岡のいたるところから目をあげれば岩手山がドーンと見える。南部片富士とも呼ばれる片側だけ富士山のようになだらかな峰をもつ山だ。

冬、キーンと冷えた空に雪をいただく姿は凛々しい。春になり残雪が翼を広げた鷲の姿に見える頃、田植えが始まる。それで岩鷲山とも呼ばれる。

知り合いのお母さんは、毎朝、岩手山に向かって手をあわせると聞いた。若い頃はなにやら滑稽だと思っていたのに、この年になると手をあわせないまでも、わかるなぁと思ってしまう。岩手山は仰ぎ見て神々しい。

近隣の高い山にはみな富士がつく。青森の岩木山は津軽富士、山形の鳥海山は出羽富士。鳥海山の方が岩手山より高いのか!と、ちょっと悔しい。でも、姿は南部片富士がかっこいい!と肩入れしたくなる。それぞれの県民自慢の我がお山なのだろう。

いつかテレビで、東京の町中から富士山を望めるスポット特集をしていた。日本人はみんな富士山を我がお山と思っているんだと思った。

いっしょに見ていた友が、東北に住んでいると富士山を見るのは東海道新幹線からぐらいだと嘆いた。いや、東北新幹線からも見えると教えたのに、まさか?と疑われてしまった。

見えます!大宮のあたり。特に冬、お正月の澄んだ空気の頃は見える確率が高い。富士山が見えた時は縁起がいいと思う。

去年の夏、岩手山に登った先輩から写メをもらった。山頂で満面の笑みを浮かべていた。登山をするつもりはないが、あのてっぺんに立ったのかとただ羨ましい。ヘリコプターで行って、ポトンと山頂に落としてくれないかなぁ、と罰当たりなことを考えてしまう。

岩手山のあたりに鎌倉森、犬倉山、姥倉山と三つの山がある。鎌と犬と姥が倉にしまわれている?倉の中におばあさんたちがうじゃうじゃいて、たまに貸し出されるお話はどうだろうと思って、まだ物になっていない。

岩手山を仰ぎ見て、さて姥倉山はどこだと探す。姥倉山はそう簡単には見つからない。これじゃなかろうか?と思った時は嬉しい。姥倉山も、我がお山になっている。

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