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第14回 手みやげ⾧期戦(2022年12月)/柏葉幸子

今年は、6月にアメリカと9月にカナダからアメリカへと、外国へ行く機会が二度あった。二度ともアメリカの出版社がらみだった。

6月。さて、手みやげは何にしようと私は悩んだ。向こうでお世話になるだろう方々へは、友だちが和柄のハンカチを用意してくれて、私も賢治さんの『雨ニモ負ケズ』の詩がプリントされた手ぬぐいを用意した。

後は私の本を出版してくれた出版社へのおみやげだ。会社の人たちがみんなで食べられるものがいい。

アメリカ人の知り合いがいるが、あんこは苦手なようだった。向こうの人は、豆が甘いということを受け入れられないのでは?と言った人がいた。味覚が違うのかもしれない。

食べるおみやげならいろいろある。でも、日本の岩手から持っていくのだから県産品にしたい。やはり南部煎餅だ!と思う。

私は無性にごま煎餅が食べたくなることがある。DNAにすりこまれた味なのではないかと疑ってしまう。ごま煎餅をかみしめながら、向こうの人にごま煎餅の素朴な味わいをわかってもらいたいと思った。段階を踏もう!まず、ピーナッツの粒がそのまま入った煎餅にした。クッキーみたいな感覚で食べてもらえそうだ。おいしかったと喜んでくれて、ほっとした。

そして9月。今度はいろいろなタイプがまじった箱入れにしてみた。粒のままのピーナッツ、削りピーナッツ、リンゴの乾燥したものや裂きイカがのっていたりする。そしてもちろん、ごま煎餅も入っている。

同じものを向こうで暮らす日本の方に差し上げたら、南部煎餅みたいなお煎餅は売ってないと喜んでくれた。あられみたいなものはあるらしい。

まだ、今回の手みやげの感想は届いていない。おいしかったろうか?なにより、ごま煎餅の感想を聞きたい。おいしいといってくれたら、次はシンプルにごま煎餅と削りピーナッツの昔からのものを持って行こう。

そういえば、祖母たちは二枚のごま煎餅に水飴をはさんでサンドイッチのようにして食べていた。私も好きだ。あの歯にまとわりつくごまと水飴の感触!最終的にはごま煎餅と水飴を手みやげにしようか。

手みやげの計画は進む。でも、水飴にこぎつけるまで、アメリカの出版社とのおつきあいがあればいいが―。それが問題だ。

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