岩手・タイマグラからの便り
第12回 冬を越えて、暮らしはつづく。
2026.02.02
ゴォー、ゴォー。吹き荒ぶ風の音で目を覚ましました。既に数日間、居座り続けている寒波ですが、まだしばらく立ち去る気はないらしい。ヤレヤレです。でも、足元の湯たんぽも、両脇にピッタリ寄り添う猫も、「ヌクヌクモフモフ温かいな」。寒さが厳しいからこそ、小さな温もりがより愛しく感じられます。
岩手・タイマグラからの便り
この世界のどこか、遠くに暮らすあなたへ。「岩手・タイマグラからの便り」は、いわて暮らしの魅力を紹介するWEBマガジンです。たとえ不便でも、手間がかかっても、自分たちの理想の生き方を実現するために岩手を選んだ安部智穂さん。その日々の様子を、隔月の連載でお届けします。
ボーンボーンと時計が7時を告げました。そろそろ起きようか…。意を決して布団を抜け出しました。カーテンをあけると窓一面に霜の花。美しいけれど「おぉ寒い〜」。何はさておきストーブ、ストーブ、です。
薪ストーブに、カンナ屑と木端を入れ、楢薪を数本組むようにのせたら、マッチで火種を鉋屑へシュッ。最初はチロチロ、次第にパチパチ。ほどなく、ストーブ上のポットからは湯気がシュンシュンシュン。
ストーブの上でコトコト煮出しているのは棗(なつめ)茶です。ほんのり甘くてよい香りの棗茶をコクンと飲めば、寒さで縮こまっていた身体がフッと解けます。


予報通り、午後には風も止み、うっすらと青空も。たっぷりと昼食を食べてから、さぁ雪掻きです。夫は除雪機、娘は雪掻きスコップ。そして私はママダンプ。それぞれお気に入り⁈の道具を手に、いざ出動です。強風のせいで、場所によっては50cmほども吹き溜まっていたから大仕事。家族総出で黙々と、1時間ほどかけて掻き終えました。
ご褒美おやつは酒粕アイス。冬の寒風で甘みを増した干し柿も添えました。雪掻き後のアイス♡ クゥ〜至福の味です。

作り置きのお惣菜を数品拵えていたら、もう日が陰ってきました。暗くなる前に、ウッドボイラーに燃料を満タン入れなくちゃ。しっかりと着込んでから、ノコギリ片手に敷地内の桑の木へ向かいました。自由奔放に伸びた枝を、ギコギコと切ってはエッサホイサとウッドボイラーにつめます。去年、この枝を伝って畑に侵入したハクビシンに、ブルーベリーをゴッソリ食べられたのでした。枝おろしをして獣害を防ぎ、切り落とした枝でお風呂を沸かす。更に、余分な枝を切ることで桑の実も大粒になるのだから、一石三鳥!です。

夕食後の、待ちに待ったくつろぎタイム。いそいそと編み物を始めたけれど、すぐに大欠伸。数段編んでギブアップです。お風呂でゆっくり温まり、そのままお布団にバタンキュー。編み物が進まないのは残念だけれど、ぐっすり眠れるって幸せなことです。明日はどんな1日になるかしら、そんなことを思い浮かべる間もなく眠りに落ちました。

タイマグラで過ごす冬も32回目となりました。何度経験しても、冬は試練の季節であることに変わりはありません。でも、寒さで凍てつこうが、風が吹き荒ぼうか、雪に閉ざされようが、こうして健やかに楽しく暮らせていることが、嬉しいし誇らしいです。試練多き冬を、幾度も乗り越える中で育まれた『生活力』のおかげかな? きっとそうです!

さぁ、いよいよ2月です。やる気満々の冬将軍からは、益々強烈な、あの手この手が繰り出されることでしょう。時には真っ向勝負と受けて立ったり、時にはヒョイッと交わしたり。そうしてこの冬も、なんとかかんとか、健やかに楽しく過ごせますように…。そして願わくは、この冬の経験を通して、私たちの『生活力』がまた少しでも育まれますように。
タイマグラから書き送った季節の便り。12通目のこの便りで最後となります。受け取ってくださった皆さん「ありがとうございました」。素敵な機会を頂きました。心から感謝です。
ささやかな喜びを慈しみつつ、一日一日を愛しんで、さぁこれからも暮らしていきましょう。ねっ!ご一緒に!

安部智穂
「岩手・タイマグラからの便り」ほか
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