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移住コーディネーター

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職住一体の古民家でオリジナルの手製本ノート作りと都会へ行商の日々

雫石町へ
Iターン

手製本ノート作家

四方佳奈さん

(愛知県出身/2022年に移住)

四方 佳奈(よも かな)さん/愛知県出身。大学進学を機に京都市へ転入、16年過ごした後、夫の健太さん(京都府出身)とともに雫石町へ移住。山深い集落にある古い民家に暮らし始める。家の一部を仕事場にして生業にしている手製本ノートを制作、全国各地へ出張し大型書店などで行われる催事などで販売している。(2024年度取材)

敬愛する作家の理想郷「イーハトーブ」を求め雫石へ

雫石町の南部にあるランドスケープ的な存在「男助山」と「女助山」。
かつてこの地に大洪水が起き、それぞれの山に男と女が流れ着き、やがて夫婦となり雫石町の礎を築いたという伝説が残っています。
京都から移住した佳奈さん健太さんが選んだのは、そんな山懐にある7軒ほどの集落。住居は、お隣まで2キロくらい離れているであろう山あいにある古い民家です。
岩手県に足を踏み入れたことがなかったにもかかわらず岩手に住むことだけは前々から決めていたのは佳奈さん。当時住んでいた京都の大家さんから紹介された岩手県滝沢市在住の知人を頼り、宮沢賢治ゆかりの地などあちらこちらの市町を巡りました。
そんな中、ノーマークだったという雫石町を訪問、その景色に理想郷を見つけ、ここを移住先にすると決意しました。

二人の新居は部屋数が多い築50年以上経つ日本家屋です。2年くらい誰も住んでおらず、そこには、たくさんの荷物が残されていましたが、このままでは住めないと家主さんや集落の人たちが、おおかた片付けてくれました。そうやって引き継がれた家を二人は、DIYで漆喰を塗ったり、板を張ったりと楽しんでいます。
ご家族は、とても人見知りだというパートナーで今は夫の健太さんに加え、猫ちゃんや健太さんが勤め先から引き取ってきた保護犬ちゃん、水槽には亀ちゃんにドジョウちゃんと大家族、まだまだ増えていきそうです。
過疎化が進む集落に若い人間が来るというのはとても喜ばれることで、移住してまもなく集落の人たちが集まりバーベキューパーティーを開き歓迎してくれました。

一方で集落の人たちは、がつがつと関わってくることなく、それでいて大雪の日には自発的にトラクターでやってきて除雪してくれたり、大量の野菜を持ってきてくれたりとそれとなく気にかけ手を差し伸べてくれます。

築50年以上経つ日本家屋の一室を仕事場に

 

呼吸をするように作品を作り、全国へ行商に出掛ける日々

佳奈さんのお仕事は、京都に住んでいたころから独学で始めたというオリジナルの手製本ノートを作ることです。
中身が白地で表紙が一冊ごとに異なるデザインにした文庫本サイズの本で、手に入れた方が自由に書きこめるようになっています。
表紙のデザインは絵具をにじませてみたり、近くで拾った葉っぱをモチーフにしてみたりするなど意匠を凝らして装丁されています。また「一角獣のまばたき」「晴天に背伸び」「森のため息」など一冊ごとにタイトルをつけるのも佳奈さんのこだわり。豊かな感性や世界観がそこに広がります。
雫石町は、「イーハトーブの景勝地」に選ばれている宮沢賢治の作品ゆかりの地、そんな風景が佳奈さんのインスピレーションを刺激しているのかもしれません。

「本作りは呼吸することと変わらない」という佳奈さん、作ること自体が生活そのもので当たり前のように日々手を動かし続けています。
インタビューをさせていただいた自宅の一室に設けられた仕事場は、ゆうに30畳以上あると思われる大広間。
もともとあった古い畳をはがして板を張り、そこに作業机や作業道具を置き、所狭しと完成品や制作中の作品が並べられ、表紙を描くための絵具や筆があり、まるで画家のアトリエのような創造的な空間です。
佳奈さんは、この仕事場で一枚一枚紙を折るところから始め、一冊一冊、丁寧に仕上げていきます。
作った作品は、インターネットで販売するほか、全国各地にある大型書店などで行われる催事などで販売、佳奈さんのホームページ「すずめやノート」を見るとびっしりと先々まで出張イベントの予定が入っています。
「目の前で恋文を書いている人の顔を見たことがありますか」と出張先で販売していたときのエピソードを、目を輝かせ語ってくれました。あるときリピーターでもある19歳の青年が来店、好きな人へ贈り物にするんだとノートを購入。「それならメッセージを添えるべきよ」と佳奈さんが後押ししてカードを渡すと、目の前で一心不乱に書き始めました。そんな青年の一途な表情が忘れられない。佳奈さんにとってこの仕事を続けているのは作ることだけでなく、各地で出会うお客さんや仕事仲間との温かい交流にあるのかもしれません。

佳奈さんのホームページやInstagramで日々の暮らしの様子を発信するユーモアあふれる記事はくすっと笑ってしまうこと請け合い、ぜひ多くの方にみてもらいたいです。
ホームページ https://www.suzumeya.net
Instagram   https://www.instagram.com/suzumeyabooks

一冊一冊、丁寧に仕上げるオリジナルの手製本ノート

 

 

Q&A

移住される際に利用した支援制度はありましたか?

結婚への支援金「雫石町結婚新生活支援事業」が引っ越し費用などの助けになりました。

気候的な不安、抵抗はなかったですか?

「人が住んでるじゃん」「しばらくは雪が好きだーっていうテンションで行けそうだし」と、不安よりも楽しむことに意識を向けました。

移住検討中の方に向けて

行くしかないですよ、行ってみないとなにもわからないですし。まずは動いてみませんか、実際に来てみると自分に合うかどうか分かると思います。

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