岩手・タイマグラからの便り
第8回
歓びの春!~里山の植物図鑑~
2025.06.02

あんなに待ち望んでいた春なのに、いざスタートするとそれはそれは大忙し。お天気が良い日は、一日外仕事に精を出してしまい、ヘトヘトクタクタに。夕飯を食べるともう大あくび。9時には這うようにして布団に潜り込みバタンキューです。身体はヘトヘトでも、一日存分に暮らせたなら、心は満ち足りて安らか。「ヘトヘトだけどいい一日だったなぁ」そう思いながら眠りにつければ大満足です。
岩手・タイマグラからの便り
この世界のどこか、遠くに暮らすあなたへ。「岩手・タイマグラからの便り」は、いわて暮らしの魅力を紹介するWEBマガジンです。たとえ不便でも、手間がかかっても、自分たちの理想の生き方を実現するために岩手を選んだ安部智穂さん。その日々の様子を、隔月の連載でお届けします。
早寝をするので自然と早起きに。目覚まし時計をかけずともパチリと目が覚めます。寝室には東に向いた大きな窓があり、たっぷりと朝日が差し込みます。外壁に取り付けた巣箱からは「お腹が空いたよぉ」とさえずるヒナの声が響いてきます。そんなこんなが刺激となって、心地よく目覚めることができるのです。
猫たちは、朝ご飯を食べるとすぐさま外へ飛び出していきます。若葉をすり抜け降り注ぐ光の雫、キレイだな。庭の花が次々咲くね、嬉しいな。そして佇む愛しい猫たち、めんこいな。春の朝は歓びに満ち溢れています。

朝の心地よさをゆっくり味わっていると、いい感じでお腹も空いてきます。小さなザルを持って畑へ。少しずつ収穫も始まっていて、今朝はルッコラにラディッシュ、ワサビ菜にパセリ、などなど。今はまだほんのわずかですが、あと10日もすればモリモリ山盛りとれるでしょう。

畑に行く前に手首や首元に、虫除けスプレーをシュッとふりかけます。蒸留水に、無水エタノールと薄荷オイル、そして柚子の種から抽出した保湿液をブレンドして作ります。蒸留水は、圧力鍋にちょっと手を加えて作った「なんちゃって蒸留器」で抽出したもの。サワラにトドマツ、クロモジにミント、などなど。数種類の蒸留水の中から、どの香りにしようかな? 選んだのはクラリーセージとラベンダー。虫除け効果もさることながら、その香りが心地よく、外仕事もはかどります。

畑の周りはワラビの茂み。今ちょうど芽生えの時期で、足の踏み場もないほどニョキニョキニョキ。朝摘みしてすぐにアク抜きしたわらびは、トロトロシャキシャキ!最高です。毎朝、野菜をとりに行くついでにワラビとり。食べきれない分は塩漬けにして保存します。

木の芽も食べ頃。畑の周りに移植した山椒の木は17本。無類の山椒好きで、木の芽の時期には毎日たっぷり味わいます。摘む度に「はぁー、なんて良い香り!」と歓声を上げずにはいられません。

畑のすぐ横に生えているオニグルミ。5mほどの高さに成長し、3年前からは実をつけるようにもなりました。今まさに花盛り。枝先で、不思議な形の赤い花がたくさん咲いています。気が早いけれど、秋の実りがとても楽しみです。
草木も動物たちも生き生きと輝いていて、生きるって素敵だなぁ、とあらためて感じる季節『春』。歓びに満ち溢れた春の一日一日を、私も精一杯生きたいものです!

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