一昨年、東京から岩手に移住したお笑いコンビ「天津」の木村卓寛さんと、今春県内に就職予定の大学生4人による座談会が2月上旬、盛岡市のジョブカフェいわてで行われました。岩手で就職しようと思ったきっかけや新生活への期待、岩手の魅力などについて語り合いました。

いわて暮らしアンバサダー
天津木村さん
2021年から盛岡市在住。
同年から県の「いわて暮らしアンバサダー」を務める。
兵庫県姫路市出身。46歳。

千葉琉宇成さん
岩手県立大・総合政策学部4年、大学法人に内定。
奥州市出身。

手倉森海さん
岩手大・人文社会科学部4年、金融機関に内定。
青森県八戸市出身。

及川天斗さん
拓殖大・政経学部4年、IT企業に内定。
花巻市出身。

佐藤亜海さん
駒澤大・法学部4年、IT企業に内定。
北上市出身。

岩手で働く選択

木村
 皆さん、はじめまして。約2年前、東京から岩手に移住して、朝のテレビ番組のMCなどをやらせていただいています。岩手楽しいなぁと思いながら生活しています。皆さん、就職先が岩手ということですが、なぜ岩手で就職しようと思ったのでしょうか。
千葉
 関東に出たい憧れはありましたが、21年間ずっと育ててもらった故郷に仕事で尽くすことが、自分のやりがいにもつながるのではないかと思ったからです。
手倉森
 私は八戸市の出身ですが、幼い頃から岩手に遊びに来ており、食と広大な自然に引かれました。大学時代を岩手で過ごし、今後は守る立場になりたいと思っています。
及川
 幼い頃からボクシングをやっているのですが、岩手でボクシングを続けられる企業を探しました。一度は東京で就職も考えましたが、岩手が好きですし、何より空気がおいしい。
木村
 岩手は空気が澄んでいて、季節ごとに匂いが変わりますよね。
佐藤
 大学2年時にコロナ禍で、東京でアルバイトができず、半年間岩手に戻って働きました。お店の人もお客さんも本当にかわいがってくれて、岩手の人が好きだと改めて感じたからです。
木村
 岩手の人の温かさって本当に想像以上ですよね。僕は就職活動をしたことがないのですが、就活はどうやって行いましたか。
佐藤
 いわてU・Iターンサポートデスク(県が設置する、就職・仕事のサポート施設)にリモートで相談しながら進めました。思っていた以上に多くの職種があって驚きました。県外学生向けのインターンシップ支援制度も利用しました。県外にいてもサポートが充実していて心強かったです。
木村
 なるほど。リモートでもサポートしてもらえるんですね。
千葉
 自分は大学の就活サポートセンターも利用しましたが、第一志望の大学法人には、ジョブカフェいわて(県が設置する、就職・仕事のサポート施設)の面接練習が役立ち、合格できました。
及川
 アスリート向けの就職マッチング制度(岩手県体育協会のアスリート県内雇用)を利用しました。企業によっては、国体選手以上の実績があると練習時間が多くとれるなど条件が異なります。その中で、自分に合った企業を選ぶことができました。
木村
 ジョブカフェいわてなどを経ずに就職活動するのは、厳しいですか。
手倉森
 かなり厳しかったと思います。エントリーシートも10回以上見直しましたし、面接も練習を重ねるうちに、思考が整理されていきました。キャリアカウンセラーに相談することが本当に大事だと感じました。

仕事も趣味も楽しむ

木村
 春からの新生活に期待していることは何ですか。
及川
 IT系の会社に内定していますが、全く未知の世界に飛び込みます。不安でもあり、楽しみでもあります。ボクシングで今年の国体優勝が目標です。
千葉
 私も小学校からやっている野球をクラブチームで続けます。仕事と趣味を両立していきたいと思います。
木村
 岩手には東京より仕事と趣味の両立がしやすい環境があると思います。東京と岩手の違いはどう感じますか。
佐藤
 遊ぶところは東京の方が多いですが、岩手はすぐ近くに温泉があって、ご飯もおいしいです。旅行が好きなので東北や岩手の魅力を探したいと思っています。
木村
 僕は岩手に来て初めて食べたものがたくさんあります。じゃじゃ麺、ホヤ、しどけなんかは、おいしいですよね。

岩手で夢をかなえる

木村
 岩手でしか食べられないものをいつでも食べられることも、地元で働く特権ですよね。将来こんな風になりたいという希望はありますか。
手倉森
 岩手にしかないお店一つ一つが魅力であり、自分が仕事で身に付けた知識を生かして経営の相談に乗ることで、岩手らしさを守ることにつながればと思っています。
千葉
 家族を持って、子どもが自分と同じように岩手が好きと思えるようになってくれたらうれしいです。
及川
 自分もいいパパになりたいです。子育てするならやっぱり岩手だと思います。
木村
 僕は娘たちが小学2年生と4年生のときに東京から移住してきたんですけど、以前はスマホやネットの話題が多かったのが、岩手に来たら上の娘が「皆で松ぼっくりを投げて遊んで、すごく笑ったの」って言ったのを聞いて、引っ越してよかったと思いました。素朴な気持ちで子育てができるって、すごいことだと思います。
木村
 最後に僕に質問はありますか。
千葉
 お笑い芸人として東京に戻りたい気持ちはありますか。
木村
 岩手の人が愛してくれているので、今は全く思ってないです。東京と岩手が大きく違うのは、いい意味で競争が激しくないこと。東京にいるときは芸人として売れることよりも、東京での生活にしがみついていたように思います。岩手ってチャンスがたくさんある。皆さん岩手で頑張ろうと決めたなら、頑張りきったらすごくいい人生になるんじゃないかなと思います。